カンツォーネとは?

 

 イタリアの歌謡、ポップスを指す言葉としては、今日一般にイタリアンポップスという言葉が使われている様ですね。一方カンツォーネというと、オー・ソーレ・ミオのようなカンツォーネ・ナポレターナを始めとするクラシック調の歌だと思っている人、ボッビー・ソロやジリオラ・チンクエッティでその昔日本で大ヒットしたイタリアのナツメロを思い浮かべる人、中にはシャンソニエなんかで歌われているちょっと気取った難しい歌のことだと思っている人など、人それぞれ!そこで辞書をひいてみると、「イタリアの民衆に広く愛唱されている歌謡の総称。特に日本ではナポリ地方で生まれた流行歌をいう」(!?)などと書いてあったりして、ますますわけがわからない…!

 イタリア語の知識のある方はご存知の通り、地元ではカンツォーネとは単に「歌」を意味する名詞です。ただ日本ではそれがジャンルを示す言葉として使われており、そのジャンルの範囲の確定が人によって定かでなく、一般的にはナポレターナを主とした古い大衆音楽=クラシックという観念が定着してしまっている様ですね。でも、1958年初めて日本にカンツォーネという言葉をひとつのジャンルとして定着させた荒井基裕先生にしてみれば、それは大間違いといったところでしょう。

 荒井先生は日本ではじめて、イタリアオペラ以外の大衆歌謡を、ラジオやコンサートなどを通じ、大々的に日本に広めた方です。先生がカンツォーネとして紹介なさった曲は、古くから民衆に愛されているイタリア歌曲から、当時最新のポップスまであらゆるジャンルを越えたものでした。カンツォーネという言葉の定義が今日漠然としたものに思われる原因の一つは、その範囲の広さにあるのではないかと思います。また、古くからのイタリアの大衆歌謡はかなりクラシック色の強いもので、多くはマリオ・デル・モナコなどのオペラ歌手によって歌われており、日本でも同様でした。それが多くの日本人にカンツォーネ=クラシックという観念を植え付けてしまい、イタリアの古いポップスまでが、日本ではソプラノで歌われちゃったりするわけですね。(それでもあまりヘンじゃない所が、古き良きイタリアンポップスのメロディーの完成度の高さ!)

結論!カンツォーネはオー・ソーレ・ミオだけではありません。そのジャンルはますます多様化していくでしょう。ただイタリア人と話す時は、「カンツォーネ・イタリアーナ」と呼びましょう。さもないと「日本のカンツォーネ?それともアメリカの?」なんて聞かれてしまいますよ。